うすい嘘。

嘘をつくのが苦手だし、つかれた嘘を見抜くのも苦手だ。
でも私はよく嘘をつく。特に好きな人に、身近な人に。
大した嘘じゃなく、誰も傷つけることのないようなくだらない嘘だ。自分を飾るものでもなく守るものでもなく。そもそも自分を守るためになら、嘘なんかつかなくったって黙っていればいいだけだしね。
なんのためにそうするのかはもう忘れた。自己防衛のようなものだった気もするけど。


好きな人につく嘘は、コンドームのように薄くて優しくて相手に負担を与えないものにすると心に決めている。
気づくか気づかないかの小ささで、気づいたならそれは相手にとって気持ちのいい嘘であるように。
子供がおどけているような気分になりたいんだ、私はきっと。

やさしさがために少し離れていたい気持ちもそこにはあるけど。


私は嘘をつくし、それを悪びれるつもりもない。自分の本能を丸出しにしないように尖った気持ちで傷つけないように、コンドームのように薄く優しさのある嘘をつく。